本の紹介 : 線形代数


線形代数は大学1年で学ぶものです。
初めは学ぶ意義がわかりずらいかもしれませんが、物理・統計・数値解析など広く必要になります。
多変数の微積分にも線形代数が必要です。
また、線形空間・線形写像の公理的な理論は、数学の重要で基本的な考え方の1つです。


齋藤正彦「線型代数入門」 (1966)

長く定番として親しまれた教科書です。

1. 平面および空間のベクトル
2. 行列
3. 行列式
4. 線型空間
5. 固有値と固有ベクトル
6. 単因子およびジョルダンの標準形
7. ベクトルおよび行列の解析的取扱い
附録I. 多項式
附録II. ユークリッド幾何学の公理
附録III. 群および体の公理

齋藤正彦「線型代数演習」 (1985)

上記の演習書です。

1. 平面および空間のベクトル. 複素数
2. 行列. 一次方程式系
3. 行列式. 特性多項式
4. 線型空間と線型写像
5. 線型変換の標準形(計量がない場合)
6. 計量空間の線型変換. 二次形式
A. 多項式

齋藤正彦「線型代数学」 (2014)

上記と同じ著者が長い教育経験の後、新たに書いた教科書です。
まえがきによると、具体的・操作的な面を重視し、キーとなるのは行列の区分けと基本変形だそうです。

1. 行列論の基礎
2. 行列論の続きと1次方程式系
3. 行列式
4. 固有値と固有ベクトル
5. 行列の解析学
6. 線形空間と線形写像 (1)
7. 線形空間と線形写像 (2)
8. ジョルダン標準形とその応用
A. 双対空間,商空間
B. 代数学の基本定理


佐武一郎「線型代数学」 (1974)

数学者を目指すような人に適していると思います。
随所に高度な概念に触れられています。 特に、第V章は他の線形代数の教科書にはあまり見られない内容です。
全体的に表現論を意識していると思います。

I. ベクトルと行列の演算
1. ベクトルの演算
2. 行列の演算
3. 行列の演算(続)
4. 一次写像
5. 実数と複素数
6. 内積
A. 行列の指数関数について

II. 行列式
1. 置換
2. 行列式の定義と基本的性質
3. 行列式の展開
4. 連立一次方程式(Cramerの解法)
5. 行列式の積
6. 二,三の応用
A1. 特殊な形の行列式
A2. 乗法公式による行列式の特徴づけ
A3. 行列式の微分

III. ベクトル空間
1. ベクトルの一次独立性
2. 部分空間
3. 正規直交系と直交補空間
4. 一次写像(行列)の階数
5. 連立一次方程式(一般の場合)
6. ベクトル空間の公理化
7. 底の変換,直交変換
A1. 冪等行列,射影子
A2. 連立線型微分方程式

IV. 行列の標準化
1. 固有値と固有ベクトル
2. 固有空間への分解
3. 対称行列の標準化
4. 二次形式
5. 正規行列
6. 直交行列の群
A1. 一般の二次形式
A2. 直交群のLie環

V. テンソル代数
1. 双対空間
2. テンソル積
3. 対称テンソルと交代テンソル
4. テンソル代数,グラスマン代数
5. 係数体の拡大と制限
A. 群の表現

A. 幾何学的説明
1. 空間におけるベクトル
2. 直線,平面のベクトル表示
3. 面積,体積
4. Euclid幾何の公理
5. 二次曲面の主軸


佐武一郎「線形代数」 (1997)

学部のときの教科書でした。
学部1年で勉強するのに丁度良い内容かもしれません。

1. 2次行列の計算
2. 一般の行列とベクトル
3. ベクトル空間の概念
4. 線形写像の概念
5. 行列式
6. 連立1次方程式の解法
7. 計量ベクトル空間
8. 行列の標準化


松坂和夫「線型代数入門」 (1980)

記述がとても丁寧で、基礎理論を見直したい人にはとてもいいと思います。
まえがきによると、多様な人々(文系の大学生を含む)向けとのことですが、それには適さないと思います。
なぜなら、内積のような重要な概念が出てくるのが、かなり後ろの方だから。

1. 2次元と3次元の簡単な幾何学
2. ベクトル空間
3. 線型写像
4. 複素数,複素ベクトル空間
5. 行列式
6. 線型写像と行列,ベクトル空間の直和
7. 固有値と固有ベクトル
8. 行列の標準化
9. エルミート双1次形式,内積空間
10. 内積空間の線型変換と2次形式


永田雅宜ら「理系のための線型代数の基礎」 (1987)

定評のある教科書の1つです。

1. 行列と1次変換
2. 行列式
3. 連立1次方程式
4. 計量ベクトル空間
5. 行列の標準化
6. 整式と方程式


笠原皓司 「線型代数と固有値問題 - スペクトル分解を中心に」 (1972, 2004, 2014, 2019)

線形代数を多少学んだことがある人向けです。
関数解析を意識して書かれているとのことです。

1. 線型空間
2. ユークリッド線型空間
3. 線型変換と行列
4. 固有値問題
5. 対称変換の固有値問題とその応用
6. 二次形式
7. 複素化
8. 複素固有値問題
9. 一般固有値問題


長谷川浩司「線型代数」 (2004, 2015)

とても丁寧に書かれています。
各章の最後にある「道案内」も色々なことが書かれていて面白いです。
教科書としても参考書としても良いと思います。

I. 入門編 : 2次行列と平面の1次変換
1. 平面ベクトルと2次正方行列
2. 平面の1次変換の合成、行列式
3. 2次正方行列の対角化
4. 2次正方行列の対角化(2)
5. 解析との関連から

II. 基本編 : 線形写像・次元・行列式
6. 多成分ベクトルと線型写像
7. 空間の幾何
8. はき出し法、逆行列、階数
9. 像と核、次元定理
10. 正規直交基底など
11. n次の行列式
12. 行列式の応用
13. 行列の対角化

III. 展開編 : 一般のベクトル空間 - さまざまな数学への扉
14. 一般のベクトル空間
15. 内積および正規行列
16. 行列のなす群
17. ベクトル空間の間の演算
18. ジョルダン標準形
19. 展望・量子力学入門


川久保勝夫「線形代数学」 (1999)

基本的な事柄が丁寧に書かれた良い本だと思います。

1. ベクトル
2. 行列
3. 線形写像
4. 行列式
5. 連立1次方程式
6. ベクトル空間
7. ランク
8. 固有値と固有ベクトル
9. 内積
10. 正規行列の対角化
11. ジョルダンの標準形


三宅敏恒「線形代数学―初歩からジョルダン標準形へ」 (2008)

1. 行列
2. 連立1次方程式
3. 行列式
4. ベクトル空間
5. 線形写像
6. 内積空間
7. 双対空間、商空間、空間の直和
8. ジョルダン標準形
9. エルミート空間


小寺平治「明解演習 線形代数」 (1982)

1. 数ベクトル
2. 行列とその計算
3. 行列の基本変形
4. ベクトル空間
5. 線形写像
6. 計量ベクトル空間
7. 行列式
8. 固有値問題
9. ジョルダン標準形とその応用
10. 2次形式とエルミート形式


竹内外史「線形代数と量子力学」

1. 線形空間C^nとその正規作用素
2. 量子力学
付録. 量子論理への誘い


中原幹夫「量子物理学のための線形代数―ベクトルから量子情報へ」


D. A. ハーヴィル「統計のための行列代数 上」 「統計のための行列代数 下」

1. 行列
2. 部分行列と分割行列
3. 線形従属と線形独立
4. 線形空間 - 行空間と列空間
5. 正方行列のトレース
6. 幾何学的考察
7. 線形系 - 無矛盾性と両立性
8. 逆行列
9. 一般逆行列
10. 冪等行列
11. 線形系 - 解
12. 射影と射影行列
13. 行列式
14. 線形形式,双線形形式,二次形式
15. 行列の微分
16. クロネッカー積とvec作用素とvech作用素
17. 部分空間の共通部分と和
18. 行列の和と差
19. 線形制約の下での(n個の変数に関する)二次多項式の最小化
20. ムーア-ペンローズ型逆行列
21. 固有値と固有ベクトル
22. 線形変換


伊理正夫, 韓太舜 「線形代数 - 行列とその標準形」 (1977)

1. ベクトルとベクトル空間
2. 行列
3. 行列式
4. ベクトル空間と一次変換
5. 2次形式と計量
6. グラフと行列
7. 行列の標準形
8. 射影行列と一般逆行列


伊理正夫 「線形代数汎論」 (2009)

1. 線形代数の周辺
2. 行列と行列式
3. ベクトル空間
4. 線形方程式系
5. 固有値
6. 行列の標準形と応用
7. 一般逆行列
8. 非負行列
9. 行列束


平岡和幸・堀玄「プログラミングのための線形代数」 (2004)

1. ベクトル・行列・行列式 - 「空間」で発想しよう
2. ランク・逆行列・一次方程式 - 結果から原因を求める
3. コンピュータでの計算(1) - LU分解で行こう
4. 固有値・対角化・Jordan標準形 - 暴走の危険があるかを判断
5. コンピュータでの計算(2) - 固有値算法


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