負の2項分布

n=1,2, とする。

負の2項係数

k=1,2, について dkdxk(x+1)n=(n)(n1)(nk+1)(x+1)nk=(1)kn(n+1)(n+k1)(x+1)nk=(1)k(n+k1)!(n1)!(x+1)nk  dkdxk(x+1)n|x=0=(1)k(n+k1)!(n1)! なので、以下のようにテイラー展開される: (x+1)n=k=0(1)k(n+k1)!k!(n1)!xk=k=0(1)k(n+k1k)xk((n+k1k)=n+k1Ck は2項係数 )(a)=k=0(nk)xk. ここで、負の2項係数 (nk)(b)(nk):=(1)k(n+k1k)=(1)k(n+k1)!k!(n1)! で定義した。 これが負の2項係数と呼ばれる理由は、式 (a) が、通常の2項定理 (x+1)n=k=0n(nk)xk に似ているからである。

なお、 |(nk+1)(nk)|=(n+k)!(k+1)!(n1)!(n+k1)!k!(n1)!=n+kk+1=nk+11+1kk1 なので、 (a) が収束するのは |x|<1 のときである。

また、 a0 として、 (x+a)n=an(xa+1)n=ank=0(nk)(xa)k((a))=k=0(nk)xkank であり、これが収束するのは |x/a|<1 のときである。

負の2項分布

表が出る確率 p のコインを投げるベルヌイ試行を考える。 表が n 回出るまでに裏が出る回数を X とすると、 これは確率変数である。 X=k (=0,1,2,) というのは、 初めの n+k1 回のうち、 表が n1 回で、裏が k 回であり、 n+k 回目に表が出ることを意味する。 よって、これが起こる確率は p(k)=(n+k1k)pn1(1p)kp(c)=(n+k1k)pn(1p)k(k=0,1,2,) である。 確率関数が (c) で与えられる確率分布を負の2項分布と呼ぶ。

(c) が規格化条件を満たすことは、次のようにして確認できる: k=0p(k)=pnk=0(n+k1k)(1p)k=pnk=0(nk)(p1)k((b))=pn((p1)+1)n((a))=pnpn=1. 期待値は、次のように計算できる: E(X)=k=0kp(k)=pnk=1(n+k1k)k(1p)k=pnk=1(n+k1)!k!(n1)!k(1p)k=pnk=1(n+k1)!(k1)!(n1)!(1p)k=pnm=0(n+m)!m!(n1)!(1p)m+1=npn(1p)m=0((n+1)+m1)!m!((n+1)1)!(1p)m=npn(1p)m=0((n+1)m)(p1)m((b))=npn(1p)((p1)+1)(n+1)((a))=npn(1p)p(n+1)=n(1p)p. また、 E(X(X1))=k=0k(k1)p(k)=pnk=2(n+k1k)k(k1)(1p)k=pnk=2(n+k1)!k!(n1)!k(k1)(1p)k=pnk=2(n+k1)!(k2)!(n1)!(1p)k=pnm=0(n+m+1)!m!(n1)!(1p)m+2=n(n+1)pn(1p)2m=0((n+2)+m1)!m!((n+2)1)!(1p)m=n(n+1)pn(1p)2m=0((n+2)m)(p1)m((b))=n(n+1)pn(1p)2((p1)+1)(n+2)((a))=n(n+1)pn(1p)2p(n+2)=n(n+1)(1p)2p2 なので、分散は V(X)=E((XE(X))2)=E(X2)E(X)2=E(X(X1))+E(X)E(X)2=n(n+1)(1p)2p2+n(1p)p(n(1p)p)2=n(1p)p2 である。