九州大学 大学院
工学府 土木工学専攻
2022年度 数学 【問題3】




(1)

\begin{align} \frac{\partial f}{\partial x} &= y - x^3 \tag{a} \\ \frac{\partial f}{\partial y} &= x - \sin y \tag{b} \end{align} を満たす関数 $f(x,y)$ を求める。 式 (a) より、 \begin{align} f(x,y) = xy - \frac{1}{4} x^4 + g(y) \tag{c} \end{align} なる関数 $g(y)$ が存在することがわかる。 (c) を (b) に代入して整理すると、 \begin{align} \frac{dg}{dy} &= - \sin y \\ \therefore \ \ g(y) &= \cos y + C \ \ \ \ \ \ \ \ \text{ ( $C$ は任意定数 )} \\ \therefore \ \ f(x,y) &= xy - \frac{1}{4} x^4 + \cos y + C \ \ \ \ \ \ \ \ \text{ ( $C$ は任意定数 )} \end{align} を得る。 よって、求める一般解は \begin{align} xy - \frac{1}{4} x^4 + \cos y + C = 0 \ \ \ \ \ \ \ \ \text{ ( $C$ は任意定数 )} \end{align} である。

(2)

式④が完全微分方程式であるための条件は、 \begin{align} \frac{\partial}{\partial y} Q(y) X(x,y) &= \frac{\partial}{\partial x} Q(y) Y(x,y) \\ \frac{dQ}{dy} X + Q \frac{\partial X}{\partial y} &= Q \frac{\partial Y}{\partial x} \\ \frac{1}{Q} \frac{dQ}{dy} &= \frac{1}{X} \left( \frac{\partial Y}{\partial x} - \frac{\partial X}{\partial y} \right) \end{align} なので、 \begin{align} Q(y) &= \exp \left( \int dy \frac{1}{X(x,y)} \left( \frac{\partial Y}{\partial x} - \frac{\partial X}{\partial y} \right) \right) \end{align} を得る。

(3)

(2) の $X(x,y),Y(x,y)$ は今の場合、 \begin{align} X(x,y) = xy^2 - y^3 , \ \ Y(x,y) = 1 - xy^2 \end{align} であるから、 \begin{align} \frac{1}{X(x,y)} \left( \frac{\partial Y}{\partial x} - \frac{\partial X}{\partial y} \right) &= \frac{-y^2 - (2xy-3y^2) }{xy^2 - y^3} \\ &= - \frac{2}{y} \end{align} であり、積分因子として \begin{align} Q(y) = \frac{1}{y^2} \end{align} を考えればよい。 このとき与えられた微分方程式は、 \begin{align} (x-y)dx + \left( \frac{1}{y^2} - x \right) dy = 0 \end{align} となり、 (1) と同じ方法を使って、一般解 \begin{align} f(x,y) = \frac{1}{2} x^2 - xy - \frac{1}{y} + C \ \ \ \ \ \ \ \ \text{ ( $C$ は任意定数 )} \end{align} を得る。