京都大学 大学院 情報学研究科
通信情報システム専攻
2021年実施 専門基礎A-2




(1)

(a)

与えられた関数 $f(t) = e^{-mt} \ (m \gt 0)$ の余弦フーリエ変換を $F(\omega)$ とすると、 \begin{align} F(\omega) &= \int_0^\infty e^{-mt} \cos \omega t \ dt \\ &= - \frac{1}{m} \left[ e^{-mt} \cos \omega t \right]_0^\infty - \frac{\omega}{m} \int_0^\infty e^{-mt} \sin \omega t \ dt \\ &= \frac{1}{m} + \frac{\omega}{m^2} \left[ e^{-mt} \sin \omega t \right]_0^\infty - \frac{\omega^2}{m^2} \int_0^\infty e^{-mt} \cos \omega t \ dt \\ &= \frac{1}{m} - \frac{\omega^2}{m^2} F(\omega) \\ \therefore \ \ F(\omega) &= \frac{m}{\omega^2 + m^2} \end{align} を得る。

(b)

(a) の結果を与えられた逆変換の式に代入すると、 \begin{align} e^{-mt} = \frac{2}{\pi} \int_0^\infty \frac{m}{\omega^2 + m^2} \cos \omega t \ d \omega \end{align} であり、 $t, \omega, m$ をそれぞれ $p, v, \beta$ と書けば、示すべき等式が得られる。



(2)

$y(x)=u(x) e^{x^2/2}$ として、与えられた微分方程式に代入して整理すると、 \begin{align} \frac{d^2u}{dx^2} - 4u = x \end{align} となり、さらに、 $v(x)=4u(x)+x$ として上の微分方程式に代入して整理すると、 \begin{align} \frac{d^2 v}{dx^2} = 4v \end{align} となるので、一般解として、 \begin{align} v(x) &= C_1 e^{2x} + C_2 e^{-2x} \\ \therefore \ \ u(x) &= c_1 e^{2x} + c_2 e^{-2x} - \frac{1}{4} x \\ \therefore \ \ y(x) &= \left( c_1 e^{2x} + c_2 e^{-2x} - \frac{1}{4} x \right) e^{x^2/2} \end{align} を得る。 ここで、 $C_1, C_2, c_1, c_2$ は任意定数である。



(3)

虚数単位を $i$ として、 $z=e^{i \theta}$ とすると、 \begin{align} dz &= i e^{i \theta} d \theta = iz d \theta \\ \sin \theta &= \frac{1}{2i} \left( z + \frac{1}{z} \right) \end{align} である。 複素平面上で、原点を中心とする半径 $1$ の円を反時計回りに回る経路を $C$ とすると、 \begin{align} I &= \int_0^{2 \pi} \frac{1}{a + \sin \theta} d \theta \\ &= \oint_C \frac{1}{a + \frac{1}{2i} \left( z + \frac{1}{z} \right)} \frac{dz}{iz} \\ &= \oint_C \frac{2}{z^2 + 2iaz - 1} dz \end{align} となる。 被積分関数は $z = \left( \pm \sqrt{a^2 - 1} - a \right) i$ に1位の極をもつが、 $C$ の内部にあるのは、 $z = \left( \sqrt{a^2 - 1} - a \right) i$ のみである。 このときの留数は、 \begin{align} &\lim_{z \to \left( \sqrt{a^2 - 1} - a \right) i} \left( z - \left( \sqrt{a^2 - 1} - a \right) i \right) \cdot \frac{2}{z^2 + 2iaz - 1} \\ = &\lim_{z \to \left( \sqrt{a^2 - 1} - a \right) i} \frac{2}{z + \left( \sqrt{a^2 - 1} + a \right) i} \\ = &\frac{1}{i \sqrt{a^2 - 1}} \end{align} なので、留数定理により、 \begin{align} I &= 2 \pi i \cdot \frac{1}{i \sqrt{a^2 - 1}} \\ &= \frac{2 \pi}{\sqrt{a^2 - 1}} \end{align} を得る。