名古屋工業大学 大学院
工学研究科 物理工学系
2020年度 問題11 基礎物理数学




I

(1)

(1a)

\begin{align} u(t) &= u(0) e^{-kt} \\ &= e^{-kt} \end{align}

(1b)

適当な関数 $A(t)$ があって、 \begin{align} u(t) = A(t) e^{-kt} \end{align} と書ける。 これを与えられた微分方程式に代入して整理すると、 \begin{align} \frac{dA(t)}{dt} &= f e^{kt} \end{align} となるから、積分定数を $C$ として、 \begin{align} A(t) &= \frac{f}{k} e^{kt} + C \\ \therefore \ \ \ \ u(t) &= \frac{f}{k} + C e^{-kt} \end{align} を得る。 さらに、初期条件 $u(0)=1$ より、 $C = 1 - f/k$ であり、 \begin{align} u(t) &= \frac{f}{k} + \left( 1 - \frac{f}{k} \right) e^{-kt} \end{align} を得る。

(2)

(2a)

与えられた微分方程式に $x(t)=e^{\lambda t}$ を代入して整理すると、 \begin{align} \lambda^2 + 2 \lambda + 2 = 0 \end{align} \begin{align} \therefore \ \ \ \ \lambda = - 1 \pm i \end{align} を得る。 さらに、 \begin{align} e^{(-1 \pm i)t} = e^{-t} ( \cos t \pm i \sin t ) \end{align} であるから、 $A,B$ を任意定数として、 \begin{align} x(t) = e^{-t} ( A \cos t + B \sin t ) \end{align} が一般解である。

(2b)

まず、 \begin{align} x(0) = A = 1 \end{align} であるから、 \begin{align} x(t) &= e^{-t} ( \cos t + B \sin t ) \\ \therefore \ \ \ \ \frac{dx(t)}{dt} &= e^{-t} \left\{ (B-1) \cos t - (B+1) \sin t \right\} \end{align} であり、 \begin{align} \frac{dx(0)}{dt} &= B-1 = 0 \\ \therefore \ \ \ \ B &= 1 \end{align} であるから、 \begin{align} x(t) = e^{-t} ( \cos t + \sin t ) \end{align} を得る。

(3)

(3a)

\begin{align} \vec{V} &= \vec{\Omega} \times \vec{r} \\ &= \Omega \vec{k} \times ( x \vec{i} + y \vec{j} + z \vec{k} ) \\ &= \Omega x \vec{j} - \Omega y \vec{i} \\ \therefore \ \ \ \ (u,v,w) &= ( - \Omega y, \Omega x, 0 ) \end{align}

(3b)

\begin{align} \text{rot } \vec{V} &= ( 0, 0, 2 \Omega ) \end{align}



II

(3)

与えられた $x_1, x_2, x_3$ を運動方程式に代入すると、 \begin{align} - m \omega^2 A_1 &= k (A_2 - A_1) \\ - m \omega^2 A_2 &= k (A_1 - 2A_2 + A_3) \\ - m \omega^2 A_3 &= -k (A_3 - A_2) \end{align} となり、 \begin{align} \begin{pmatrix} 1 & -1 & 0 \\ -1 & 2 & -1 \\ 0 & -1 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} A_1 \\ A_2 \\ A_3 \end{pmatrix} = \frac{\omega^2}{\omega_0^2} \begin{pmatrix} A_1 \\ A_2 \\ A_3 \end{pmatrix} \end{align} となる。 この式の左辺の3次正方行列の固有値を $\lambda$ とすると、 \begin{align} 0 &= \begin{vmatrix} 1 - \lambda & -1 & 0 \\ -1 & 2 - \lambda & -1 \\ 0 & -1 & 1 - \lambda \end{vmatrix} \\ &= - \lambda ( \lambda - 1 ) ( \lambda - 3 ) \\ \therefore \ \ \ \ \lambda &= 0, 1, 3 \end{align} となる。 よって、最大の固有値は $\lambda = 3$ すなわち $\omega^2 = 3 \omega_0^2$ であり、このとき \begin{align} 2A_1 = - A_2 = 2A_3 \end{align} となるから、大きさ $1$ の固有ベクトルは、 \begin{align} \frac{1}{\sqrt{6}} \begin{pmatrix} 1 \\ -2 \\ 1 \end{pmatrix} \end{align} である。