早稲田大学 大学院 先進理工学研究科
物理学及応用物理学専攻
2022年実施 問題 3




時刻を $t$ で表し、時間微分を $d/dt$ や $\dot{}$ で表す。

(1)

質点にはたらく力を $\boldsymbol{f}$ とすると、 運動方程式 $\dot{\boldsymbol{p}} = \boldsymbol{f}$ が成り立ち、また、 中心力であることから $\boldsymbol{r} \times \boldsymbol{f} = \boldsymbol{0}$ が成り立つ。 さらに、速度 $\dot{\boldsymbol{r}}$ と運動量 $\boldsymbol{p}$ は平行なので、 $\dot{\boldsymbol{r}} \times \boldsymbol{p} = \boldsymbol{0}$ が成り立つ。 よって、質点の角運動量 $\boldsymbol{l} = \boldsymbol{r} \times \boldsymbol{p}$ の時間微分は \begin{align} \dot{\boldsymbol{l}} &= \dot{\boldsymbol{r}} \times \boldsymbol{p} + \boldsymbol{r} \times \dot{\boldsymbol{p}} \\ &= \boldsymbol{0} \end{align} となり、 $\boldsymbol{l}$ は保存することがわかる。

(2)

質点の質量を $m$ とすると $\boldsymbol{p} = m \dot{\boldsymbol{r}}$ である。 微小な時間 $\Delta t$ の間の質点の位置の変化は $\dot{\boldsymbol{r}} \Delta t$ であるので、 この間に原点と質点の位置を結ぶ線分が掃過する面積のベクトル $\Delta \boldsymbol{S}$ (その大きさが面積で、向きは $\boldsymbol{r}, \dot{\boldsymbol{r}}$ に直交し、 $\boldsymbol{r}, \dot{\boldsymbol{r}}, \Delta \boldsymbol{S}$ が右手系をなす)は \begin{align} \Delta S &= \frac{1}{2} \boldsymbol{r} \times \left( \boldsymbol{r} + \dot{\boldsymbol{r}} \Delta t \right) \\ &= \frac{\Delta t}{2m} \boldsymbol{l} \end{align} となる。 (1) より $\boldsymbol{l}$ は保存するので、 $\Delta \boldsymbol{S} / \Delta t$ が保存することがわかり、 これは面積速度が一定であることを意味する。

(3)

物体 A が B におよぼす重力を $\boldsymbol{f}$ とすると、 B が A におよぼす重力は $ - \boldsymbol{f}$ であり、 $(\boldsymbol{r}_B - \boldsymbol{r}_A) \times \boldsymbol{f} = \boldsymbol{0}$ が成り立つ。 また、A, B それぞれの運動方程式は \begin{align} \dot{\boldsymbol{p}}_A = - \boldsymbol{f} , \ \ \dot{\boldsymbol{p}}_B = \boldsymbol{f} \end{align} である。 よって、 \begin{align} \frac{d}{dt} \left( \boldsymbol{l}_A + \boldsymbol{l}_B \right) &= \frac{d}{dt} \left( \boldsymbol{r}_A \times \boldsymbol{p}_A + \boldsymbol{r}_B \times \boldsymbol{p}_B \right) \\ &= \dot{\boldsymbol{r}}_A \times \boldsymbol{p}_A + \boldsymbol{r}_A \times \dot{\boldsymbol{p}}_A + \dot{\boldsymbol{r}}_B \times \boldsymbol{p}_B + \boldsymbol{r}_B \times \dot{\boldsymbol{p}}_B \\ &= \left( \boldsymbol{r}_B - \boldsymbol{r}_A \right) \times \boldsymbol{f} \\ &= \boldsymbol{0} \end{align} となるので、 $\boldsymbol{l}_A + \boldsymbol{l}_B$ は保存されることがわかる。

(4)

A, B それぞれの運動方程式は \begin{align} M \ddot{\boldsymbol{r}}_A = - \boldsymbol{F} , \ \ m \ddot{\boldsymbol{r}}_B = \boldsymbol{F} \end{align} なので、 $\boldsymbol{r} = \boldsymbol{r}_B - \boldsymbol{r}_A$ について、 \begin{align} \ddot{\boldsymbol{r}} &= \ddot{\boldsymbol{r}}_B - \ddot{\boldsymbol{r}}_A \\ &= \left( \frac{1}{m} + \frac{1}{M} \right) \boldsymbol{F} \\ \therefore \ \ \frac{1}{ \frac{1}{m} + \frac{1}{M} } \ddot{\boldsymbol{r}} &= \boldsymbol{F} \end{align} が成り立つ。 これは、質量 $1/((1/m)+(1/M))$ 力 $\boldsymbol{F}$ の1つの質点の運動方程式と同じである。

(5)

速度の動径方向に垂直な成分は $l/(mr)$ であるので、 力学的エネルギーの総和 $E$ は \begin{align} E &= \frac{1}{2} m \left( v_r^2 + \left( \frac{l}{mr} \right)^2 \right) - \frac{GmM}{r} \\ &= \frac{1}{2} m v_r^2 + \frac{l^2}{2mr^2} - \frac{GmM}{r} \end{align} である。 (重力のポテンシャルエネルギーは $r \to \infty$ で $0$ とした。)

(6)

(5) より \begin{align} V(r) &= \frac{l^2}{2mr^2} - \frac{GmM}{r} \\ \frac{dV(r)}{dr} &= - \frac{l^2}{mr^3} + \frac{GmM}{r^2} \\ &= \frac{- l^2 + Gm^2Mr}{mr^3} \end{align} なので、 \begin{align} r_m &= \frac{l^2}{Gm^2M} \\ V_m &= V(r_m) \\ &= - \frac{G^2m^3M^2}{2l^2} \end{align} を得る。

(7)

(i) $ E \lt V_m $ であるような運動はありえない。

(ii) $ E = V_m $ のときは、 $r$ は一定 $r_m$ であり、円運動である。

(iii) $ V_m \lt E \lt 0 $ のときは、 $r$ に関して有界な運動である。

(iv) $ 0 \leq E $ のときは、 $r$ に関して非有界な運動である。