東京大学 大学院
工学系研究科 技術経営戦略学専攻
2024年度 問題1 II




3.

$A$ の固有値を $\lambda$ とすると、 \begin{align} 0 &= \det \begin{pmatrix} a - \lambda & b & 0 \\ 0 & -a - \lambda & a \\ a & 0 & b - \lambda \end{pmatrix} \\ &= - \lambda^3 + b \lambda^2 + a^2 \lambda \\ &= - \lambda \left( \lambda^2 - b \lambda - a^2 \right) \\ \therefore \ \ \lambda &= 0, \frac{b \pm \sqrt{4a^2 + b^2}}{2} \end{align} である。

$a \ne 0$ のときは、 $A$ は相異なる3つの固有値を持つから、対角化可能である。

$a=b=0$ のときは、 $A$ はゼロ行列であり、対角行列であるので、対角化可能である。

$a=0, b \ne 0$ のとき、固有値 $0$ の重複度は $2$ である。 固有値 $0$ に属する固有ベクトルを求めるため、 \begin{align} \begin{pmatrix} 0 & b & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & b \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix} \end{align} とおくと、 $y=z=0$ を得るので、固有空間の次元は $1$ であることがわかる。 よって、この場合は $A$ は対角化可能でない。

以上より、 $A$ が対角化可能であるための必要十分条件は、 「 $a \ne 0$ または $a=b=0$ 」である。