東京工業大学 大学院
工学院 機械系
2022年度 選択専門科目 問題5 (工業数学)




問1

(1)

ドーナツ(トーラス体・円環体)の体積・表面積を2通りの方法で計算 の定理1で、 $r,R$ を $a, b/\sqrt{2}$ にすればよいので、求める体積は、 \begin{align} 2 \pi^2 a^2 \left( \frac{b}{\sqrt{2}} \right)^2 = \pi^2 a^2 b^2 \end{align} である。

(2)

$u=x+y$ とおくと、 \begin{align} \frac{du}{dx} &= 1 + \frac{dy}{dx} \\ &= 1 + u^2 \end{align} となり、 \begin{align} \frac{du}{1+u^2} &= dx \\ \arctan u &= x + C \\ u &= \tan (x+C) \end{align} したがって、 \begin{align} y &= x + \tan (x+C) \end{align} を得る。 ここで $C$ は積分定数である。



問2

(1)

$A$ の固有値を $\lambda$ とすると、 \begin{align} 0 &= \det \begin{pmatrix} 2 - \lambda & 1 \\ 1 & 2 - \lambda \end{pmatrix} = (\lambda - 1)(\lambda - 3) \\ \therefore \ \ \lambda &= 1, 3 \end{align} である。 固有値 $1$ に属する固有ベクトルを求めるために、 \begin{align} \begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 1 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix} \end{align} とおくと、 $x+y=0$ なので、正規化された固有ベクトルは、例えば、 \begin{align} \frac{1}{\sqrt{2}} \begin{pmatrix} 1 \\ -1 \end{pmatrix} \end{align} である。 固有値 $3$ に属する固有ベクトルを求めるために、 \begin{align} \begin{pmatrix} -1 & 1 \\ 1 & -1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix} \end{align} とおくと、 $x=y$ なので、正規化された固有ベクトルは、例えば、 \begin{align} \frac{1}{\sqrt{2}} \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} \end{align} である。

(2)

(1)で求めた固有ベクトルを使って、 \begin{align} P = \frac{1}{\sqrt{2}} \begin{pmatrix} 1 & 1 \\ -1 & 1 \end{pmatrix} \end{align} とすると、 \begin{align} P^{-1} &= \frac{1}{\sqrt{2}} \begin{pmatrix} 1 & -1 \\ 1 & 1 \end{pmatrix} \\ P^{-1} AP &= \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 3 \end{pmatrix} \end{align} なので、 \begin{align} A^n &= P \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 3^n \end{pmatrix} P^{-1} \\ &= \frac{1}{2} \begin{pmatrix} 1+3^n & -1+3^n \\ -1+3^n & 1+3^n \end{pmatrix} \end{align} を得る。



問3

(1)

\begin{align} \frac{1}{1+z} &= \frac{1}{1-(-z)} \\ &= \sum_{n=0}^\infty (-z)^n \\ &= 1 -z + z^2 - z^3 + z^4 - \cdots \end{align}

(2)

$e^z$ のマクローリン展開が $e^z = 1 + z + (1/2)z^2 + \cdots$ であることを考慮すると、 与えられた関数は $z=0$ で2位の極をもつことがわかり、その留数は次のように計算できる: \begin{align} \lim_{z \to 0} \frac{d}{dz} z^2 \cdot \frac{1}{z \left( e^z - 1 \right) } &= \lim_{z \to 0} \frac{d}{dz} \frac{z}{e^z - 1} \\ &= \lim_{z \to 0} \frac{\left( e^z - 1 \right) - z e^z}{\left( e^z - 1 \right)^2} \\ &= \lim_{z \to 0} \frac{\left( z + \frac{1}{2} z^2 + \cdots \right) - z \left( 1 + z + \cdots \right)} {\left( z + \frac{1}{2} z^2 + \cdots \right)^2} \\ &= \lim_{z \to 0} \frac{- \frac{1}{2} z^2 + \cdots}{z^2 + \cdots} \\ &= - \frac{1}{2} \end{align}

[参考]



問4

(1)

まず、 \begin{align} c_n &= \int_{-1}^1 p(x) e^{-in \pi x} dx \\ &= \int_{-1/2}^{1/2} e^{-in \pi x} dx \\ &= 2 \int_0^{1/2} \cos (n \pi x) dx \end{align} である。 $n=0$ のときは、 \begin{align} c_0 &= 2 \int_0^{1/2} dx \\ &= 1 \end{align} であり、 $n \ne 0$ のときは、 \begin{align} c_n &= \frac{2}{n \pi} \left[ \sin (n \pi x) \right]_0^{1/2} \\ &= \frac{2}{n \pi} \sin \frac{n \pi}{2} \end{align} なので、 \begin{align} c_1 &= \frac{2}{\pi} \\ c_2 &= 0 \\ c_3 &= - \frac{2}{3 \pi} \end{align} である。

(2)

\begin{align} q(x) &= - \frac{2}{3 \pi} e^{-3i \pi x} + \frac{2}{\pi} e^{-i \pi x} + 1 + \frac{2}{\pi} e^{i \pi x} - \frac{2}{3 \pi} e^{-3i \pi x} \\ &= 1 + \frac{4}{\pi} \cos (\pi x) - \frac{4}{3 \pi} \cos (3 \pi x) \end{align} より、 \begin{align} \int_0^2 \left\{ q(x) \right\}^2 dx &= 2 + \frac{160}{9 \pi^2} \end{align} である。

[参考]