東京工業大学 大学院
情報理工学院 情報工学系
2022年度 午前 1




1)

\begin{align} \det A &= \frac{1}{27} \left( (1-8-8) - (4+4+4) \right) \\ &= -1 \end{align}

2)

\begin{align} \det (xI-A) &= x^3-x^2-x+1 \\ &= (x+1)(x-1)^2 \end{align}

3)

2) より、 $A$ の固有値は $-1, 1$ である。

4)

$A$ の固有値 $-1$ に対する固有空間(これは1次元である)の基底を求めるために、 \begin{align} \frac{1}{3} \begin{pmatrix} -4 & 2 & 2 \\ 2 & -4 & 2 \\ 2 & 2 & -4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix} \end{align} とおくと、 $x=y=z$ を得るので、例えば、 \begin{align} \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \\ 1 \end{pmatrix} \end{align} が基底になる。

$A$ の固有値 $1$ に対する固有空間の基底を求めるために、 \begin{align} \frac{1}{3} \begin{pmatrix} 2 & 2 & 2 \\ 2 & 2 & 2 \\ 2 & 2 & 2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix} \end{align} とおくと、 $x+y+z=0$ を得るので、例えば、 \begin{align} \begin{pmatrix} 1 \\ -1 \\ 0 \end{pmatrix} , \ \ \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \\ -1 \end{pmatrix} \end{align} が基底になる。

5)

複素正方行列 $U$ とその複素転置 $U^*$ について、 \begin{align} U^* U = U U^* = \text{単位行列} \end{align} が成り立つとき、 $U$ はユニタリ行列であるという。

与えられた $A$ について、 \begin{align} A^* = A \end{align} であり、計算から \begin{align} A^2 = I \end{align} がわかるので、 $A$ はユニタリ行列である。

6)

複素正方行列 $H$ とその複素転置 $H^*$ について、 \begin{align} H = H^* \end{align} が成り立つとき、 $H$ はエルミート行列であるという。

与えられた $A$ について、 \begin{align} A^* = A \end{align} であるので、 $A$ はエルミート行列である。

7)

4) で $A$ の固有値 $1$ に対する固有空間の基底を求めたが、 \begin{align} \begin{pmatrix} 1 \\ -1 \\ 0 \end{pmatrix} , \ \ \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \\ -2 \end{pmatrix} \end{align} のように選ぶこともでき、このようにすると直交した基底になる。

したがって、規格化も考慮して、 \begin{align} B = \frac{1}{\sqrt{6}} \begin{pmatrix} \sqrt{2} & \sqrt{3} & 1 \\ \sqrt{2} & -\sqrt{3} & 1 \\ \sqrt{2} & 0 & -2 \end{pmatrix} \end{align} とおくと、 \begin{align} A = BDB^* , \ \ D = \begin{pmatrix} -1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \end{align} が成り立つことがわかる。