東京工業大学 大学院
物質理工学院 材料系
2022年度 第Iブロック [1] 数学




(1)

与えられた微分方程式は変数分離型であり、次のように一般解を求められる: \begin{align} \frac{dy}{y} &= \frac{x-1}{x} dx \\ &= \left( 1 - \frac{1}{x} \right) dx \\ \log |y| &= x - \log x + C_0 \\ \therefore \ \ y &= \frac{C e^x}{x} \end{align} ここで、 $C_0, C$ は積分定数である。

また、与えられた境界条件から $C=1/e$ となるので、 \begin{align} y &= \frac{e^{x-1}}{x} \end{align} を得る。


(2)

$Y=y/2$ とすると、 $dxdy = 2dxdY$ であり、与えられた積分範囲は $xY$ 平面上の原点を中心とする半径 $a$ の円である。 さらに、 $x,Y$ に対して極座標 $r, \theta$ を導入する: \begin{align} x = r \cos \theta, \ \ Y = \frac{y}{2} = r \sin \theta \end{align} $dxdY = r dr d \theta$ である。 以上の準備の下で、次のように計算できる: \begin{align} I &= 2 \pi \int_0^a \sqrt{9a^2 - r^2} r dr \\ &= - \frac{2 \pi}{3} \left[ \left( 9a^2 - r^2 \right)^{3/2} \right]_0^a \\ &= \frac{2}{3} \left( 16 \sqrt{2} - 27 \right) \pi a^3 \end{align}


(3)

\begin{align} \left| AB \right| &= \left| A \right| \left| B \right| \\ &= (3a-4)(-2-b^2) \\ &= -(3a-4)(b^2+2) \end{align}

まず、固有値が $-1$ と $4$ ということはトレースが $3$ なので、 $a=0$ がわかる。 このとき、 \begin{align} AB = \begin{pmatrix} -2b & 4 \\ -2+3b & -2b-6 \end{pmatrix} , \ \ BA = \begin{pmatrix} -2b & -2+3b \\ 4 & -2b-6 \end{pmatrix} \end{align} なので、 $AB=BA$ となるのは $b=2$ のときである。

与えられた2つのベクトルが $B$ の固有ベクトルになるのは、 $b=-2$ のときである: \begin{align} B = \begin{pmatrix} 1 & -2 \\ -2 & -2 \end{pmatrix} \end{align} 与えられた2つの固有ベクトルを使って、 \begin{align} P = \frac{1}{\sqrt{5}} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 2 & -1 \end{pmatrix} \end{align} とおくと、 \begin{align} P^2 = \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} , \ \ PBP = \begin{pmatrix} -3 & 0 \\ 0 & 2 \end{pmatrix} \end{align} なので、次のように計算できる: \begin{align} B^n &= P \begin{pmatrix} -3 & 0 \\ 0 & 2 \end{pmatrix}^n P \\ &= P \begin{pmatrix} (-3)^n & 0 \\ 0 & 2^n \end{pmatrix} P \\ &= \frac{1}{5} \begin{pmatrix} 2^{n+2} + (-3)^n & -2^{n+1} + 2 \cdot (-3)^n \\ -2^{n+1} + 2 \cdot (-3)^n & 2^n + 4 \cdot (-3)^n \end{pmatrix} \end{align}